お見舞いで見た白い服を着たお姉さん。『あのお姉さんが看護師』がきっかけで看護師に


私がまだ幼い頃に妹が入院しました。お見舞いに行くたびに白い服を着たお姉さんがいました。そのお姉さんが優しく接してくれて妹が元気になっていくのを感じました。中学生になり、医療現場のテレビ場組を見た時に『あ、あのお姉さんが看護師だったんだ!』と認識しました。その時に私の将来の夢は『看護師』に決まりました。高校進学の時に看護科のある高校を選び、入学後は学科や実習、レポートと大変でした。そして、実習を通じて人と接することが好きなんだと実感しました。5年間の学校生活後半は母親の看病をすることになり、看護師の資格は取れず准看護師としての卒業となりました。その准看護師時代に当センターにお世話になりました。


『プロは患者さんの前では涙を見せてはいけない。』初めての看取りで涙した私にもらったアドバイス

1年目に担当させてもらった患者さんが急変され、そのままお亡くなりになることがありました。意識はあった患者さんでした。『人の命とはこんなに儚いものなのか』と私は動転し現場で泣いてしまいました。そのとき看護師長さんがそっと廊下に私を呼んで『ご家族もおられます。私たちプロは現場では涙を見せてはいけません』と優しく言ってくださいました。そして、自分の立場を自覚しました。それから私は、総合病院に転職し国家試験の勉強を続けながら看護師資格を取得することができました。総合病院での9年間で、自分のスキルアップや新人教育や育成・指導にも携わり、後輩を育てる楽しみも味わうことができました。その後内科クリニックに勤務しました。御高齢の理事長・院長先生が地域密着型の医療を実践されていました。そこで、私は、理事長・院長先生の患者さんに対する医療だけにとどまらない、他愛のない会話から見える温かい雰囲気や優しさや真心に触れることができました。


18年ぶりに戻った当センター、毎日の小さい積み重ねで繋がる患者さんの変化、そんな『看護の楽しみ』を伝えていきたい

病院にとどまらず、介護福祉の現場へと転職しました。施設から社会復帰される方や退院から入所される利用者さん一人一人の状況を見ながら『何ができるかを考える看護』や『多職種と連携していく看護』にもう一度チャレンジしたいという気持ちが出て来ました。新人時代に何の役にも立てずに現場で涙を流した私。いろんな経験を積んだ今なら当センターで役に立てるかもと思い、私は『採用試験を受けさせて下さい』と電話しました。すると電話口で対応していただいたのは、18年前に私にプロ意識を教えてくれた当時の師長さんだったのです。あれから私は看護師資格取得を諦めず、いろんなご縁に助けられながら『居るべきところ』に戻って来たのだと思いました。
今でも日々が勉強。毎日の積み重ねが変化に繋がります。患者さんの変化を感じる時に看護の楽しみを実感します。後輩や新人さんにもそんな楽しみを感じてもらえるように伝えていきたいと思ってます。