祖父にうれしそうにさせる看護師さんの姿に「素敵だなぁ」と思ったのがきっかけ


 小学校高学年のとき大好きな祖父が入院しました。病院にお見舞いに行っても「おじいちゃんのために自分は何ができるんやろ?」と思いました。そんなとき看護師さんが来て身の回りのお世話をすると、祖父がニコニコとうれしそうな顔をするのです。そのとき「看護師って素敵な仕事だなぁ」と思ったのが看護師を目指すきっかけでした。高校に進学するときに地元の高校から県立看護大学に行けば奨学金が出ることを知り目標とする大学も決まりました。高校に入ってからも大学進学を意識して勉強にも力を注ぎました。家族の応援もあり無事に大学入学でき看護の勉強もやり切りました。「必ず看護師になる」という強い気持ちがあったから乗り切れたのだと思います。
 

新人時代は毎日が「いっぱいいっぱい」
支えてくれたのは、ベテランのプリセプター、社会人経験のある同期ナース

新卒で亀山市立医療センターに就職。急性期病棟に配属されました。疾患と病状の関係は学校で習っていたはずですが、実際に目の当たりにするとうまく結びつかずアタフタしていました。毎日が「いっぱいいっぱい」です。そんな私に周りの先輩方は細やかに教えてくれました。こちらにはプリセプター制度(先輩看護師が新人看護師に対して1年間マンツーマンで臨床実践を指導する制度)がありますが、そのときにプリセプターになっていただいたベテランの先輩の存在が大きかったです。また同じ病棟に配属された同期看護師がもう一人いたのですが、その方は一回り上で社会人経験を経てから看護学校に通い看護師になった方でした。2人に共通するのは看護師として以前に、人としてどう患者さんに接するかをいつも考えておられたこと。社会人としての経験や知識が看護に必要だと学ばせてもらいました。
新人のころから心がけていることが2つあります。1つは「患者さんに対して誠実であること」。患者さんには人生の先輩もたくさんおられます。リスペクトの気持ちを忘れないようにすることです。2つめは「学び続けること」。経験を積むと当たり前のように「あぁこれは前にもやったことがある」と考えて「なぁなぁ」になってしまう危険性があります。しかし、同じ疾患でも患者さんによって症状が違うこともあります。また患者さんのもつ背景はそれぞれ違いますから違った対応を考える必要も生まれます。医療の進歩もあり知らない用語、技術、薬も増えていきます。


11年の経験を積んでもまだまだ学ぶことがある。
視野が広がれば広がるほど、見えてくる新しい課題

私は看護師歴11年になりますが、経験を積めば積むほど看護の奥深さを感じます。経験が少ない狭い視野だと見えなかったことが、視野が広がれば広がるほど新しい課題や学ぶべきことが見えてきます。だからこそ学び続けることが大切なのだと思います。気になったことは仕事時間ではなくても調べることもあります。
今は慢性期の患者さんを担当していますが、どうやって無事に退院してもらうかをいつも考えています。退院には患者さんはもちろんですが、患者さんのご家族、医師をはじめ退院に関わる部門のスタッフ、そして退院後に関わる地域施設との連携、調整が必要です。患者さんを取り巻くいろんな人との橋渡しをするのが看護師の大きな役割となります。患者さんにいちばん近いはずのご家族でもコミュニケーションのすれ違いは起こります。患者さんが発するメッセージの本質を聞き逃さないこと。退院をスムーズに進めていくためにこれからますます看護師の橋渡しの役割は大きくなるでしょう。
3年前には自身の親の看取りも経験しました。今はまだ子育ての真っ最中ですが少し落ち着いたら、在宅看護や看取りにかかわる看護についても学んでいきたいと思っています。看護は人生のすべての経験が役に立つ仕事だと思います。