経験したことのないことも、寄り添う中で関係を築いて良い看護に結びつくことに感じるやりがい


昔から看護師になりたいと思っていたわけではないのですが、中学、高校といっしょに部活まで過ごしていた仲の良い友だちに看護師になりたいという人が多くその影響を受けました。私自身も高校1年生のときに入院したことがあり看護師さんの仕事もイメージできました。地元の看護専門学校に進学して公立の市民病院に就職。学生時代の心電図の授業がおもしろかったのでICUや循環器科に興味をもっていたのですが希望どおりICUに配属されました。ICUはつねに生死と隣り合わせで、学生時代には習っていない病態、高度な治療法、薬剤ばかりで最初の3か月はたいへんでした。それでも乗り越えられたのは同期の仲間と丁寧にサポートしてくれた先輩たちのおかげです。ICUから救急外来、循環器、一般外来などで約10年勤務。その後に別の公立病院に転職しました。


患者さんの人生を思いながら、一人ひとりの退院後を考え、在宅での過ごし方を提案したい

配属されたのは抗がん剤での治療を行う化学療法室の外来でした。患者さんは命懸けで治療に来られている方ばかりです。病態や治療法、薬のことを学ぶことはもちろん、30代前半の自分がこれまで経験したことのない人生に寄り添うことの大事さを考え続ける毎日でした。患者さんは若い方もおられれば高齢の方もいる。自分と同じように子育てをされている方もいる。寄り添うと一言で言っても、それぞれの取り巻く環境は違います。「何を目標に生きていくのか」一人ひとりの思いをしっかり聞きながら、治療だけでなくこれまでとこれからの人生を受け止めることを心掛けました。その後に放射線治療の看護も経験しました。毎日治療に来られる患者さんとコミュニケーションをとりながら、患者さんが抱える課題を聞き出します。同じ副作用でも患者さんによって自宅でできることは違います。いろんな患者さんの話を聞くことでセルフケアの共通点を見つけ出して在宅時の過ごし方を提案。それが良い結果に結びつくときにやりがいを感じました。そうするなかで在宅看護に興味をもち訪問看護ステーションでも1年働きました。


がん看護、訪問看護の経験で感じた家族のケア。
患者さんの快適につながる家族の支援もしていきたい

中学からの同級生が勤めていることもあり、ご縁があって2024年春から当センターに勤務しています。これまで経験した外来、がん看護、いろいろな背景をもつ患者さんへの看護の経験が活かせる外来勤務です。高齢の患者さんが多いので付き添いのご家族も多く来られます。患者さんだけでなくご家族からの情報収集もたいせつです。患者さんが在宅で快適に過ごすにはご家族の協力が不可欠だからです。しかもご家族も課題を抱えていることもあります。老々介護などの問題もこれから増えていきます。家族支援も含めて自分に何ができるかを考えていくことがこれからの課題です。