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人の命に向き合う日々と出会った

story006-01[1]看護助手 山下美和江
若いころ、白衣の天使に憧れて病院に就職したのですが、結婚を機に退職。農家に嫁いだ私は、専業主婦をしていました。時が過ぎ、主婦のパートをしているうちに「もう一度病院で働いてみたい」という気持ちが湧いてきました。そして、大きな不安があったものの、勇気を振り絞って病院に就職したのです。初めは新しい世界に戸惑いながらも、毎日新たな発見があり、ワクワクした気持ちで働いていたことが、今も印象に残っています。
病院に勤めて初めて患者さまの死を見た時は、大きなショックでした。また、最も驚いたのは、亡くなった患者さまを病理解剖の部屋にお連れするという体験。ほんの今まで息をしていたその方が亡くなり、すぐに解剖するという現実に戸惑い、人間の脆さを実感しました。病院に勤めたおかげで”人の命”に向き合うきっかけをいただき、命の儚さ、そして人生の尊さを学んだように思います。

熱意は伝わるものだから

この病院に来たのは、平成7年。もう随分長くお世話になっています。仕事をしていて嬉しいのは、患者さまやご家族が感謝の言葉をかけてくださる時でしょうか。些細なことでも喜んでくださったら、それに甘えず「もっといい援助をしなければいけない」と思います。
病棟には若い看護師さんが多く、みんな私の娘のような気がして、つい厳しい言葉も投げかけます。長年ここに勤めている私は、たくさんの患者さまや看護師さんとの思い出が詰まっているこの病院が大好きなんです。みんなの力で創りあげてきた病院だから、もっといい病院になってほしいと願うがあまり、いつも口うるさくなってしまいます(笑)。
看護師さんを見ていると、親身になって患者さまの事を考えて看護する姿に感動する場面に出会う傍ら、責任感に欠けるのではないか?と思う場面に出会うことも。患者さまは何も言わないけれど、看護師さんの姿勢は察知するものです。熱意は伝わるものだから、口先だけの親切ではなく心を込めてお世話してほしいと思っています。

人生に悔いを残したくない

story006私の仕事へのこだわりは「誰かが困らないようにしよう」「決められたことは必ず守ろう」と考えて行動すること。たとえば衛生材料を常に補充しておかなければ、看護師さんらが迅速なケアをすることが出来ません。そうすると医師や看護師が困るだけではなく、結果的に患者さまに迷惑をかけてしまいます。だからいい加減な仕事はしたくないと考え、日々の業務にあたっています。
今、この歳まで仕事を続けて来られたのは、この仕事が大好きで、この仕事以外に考えられないという気持ちから。この歳になると、仕事があること自体がありがたく、活きる支えになっています。
だから私は、これまでの人生に後悔はありません。この先も自分が納得できる仕事をして、人生に悔いを残さないようにしたい。そう思うと、患者さまには出来る限りのことをしてさしあげたいという気持ちになり、多くの人のお世話をさせていただけることが幸せだと感じることが出来るのです。