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手に職をつけたいと思ったから

story008-01[1]看護師 笠井裕美
幼いころから白衣への憧れを持っていた私は、将来の職業を考える時「看護師なら手に職をつけることが出来て一生働ける」と思ったのが看護師になろうと決める動機になりました。
看護学校に進学してからは、きれいな仕事ばかりではないことを目の当たりにして戸惑う場面もあったのですが、人と接することが好きだと思う気持ちが高まり嫌だと思うことはなく看護師に。そしてこれまで続けて来られたのは、やはりこの仕事が好きなんだと思います。
当院では、長らく外来勤務をしていたのですが、ある時病棟に異動することになりました。当時の私は病棟勤務をしたことがなかったため、わからないことばかりで戸惑いながら精一杯の精神状態で仕事を続ける毎日。そんなとき、長年外来に来てくださっていた患者さまが入院して来られたのです。

患者さまから助けられた思い出

その方は、ターミナルで残された時間は少ししかありませんでした。看護師の私は、その方の気持ちを支えるのが仕事です。しかし私はお顔を見たら辛い思いが込み上げてきて、不覚にも患者さまの前で泣いてしまったのです・・・。
病棟で何も出来ず辛いという気持ちを打ち明けると「あんたなら大丈夫!」と励ましてくださり、その患者さまが病棟で信頼している看護師に私の事を頼んどいてあげるからと・・・。
その言葉に安心して力をいただいたと同時に、いつまでも泣いているのではなく、私がこの患者さまを助けなければいけないという強い気持ちが生まれたのを今も覚えています。その時から少しずつ病棟に適応できるようになったのですが、この患者さまがいなければ今の私はなかったかもしれません。その後、その患者さまは亡くなられたのですが、いつまでも私の心にその方は生き続けてくださっているように思います。

気持ちが前向きになれるような援助がしたい

story008看護をしていると、相手の立場や気持ちを考えて言葉を選ぶことの大切さを実感します。
以前出会った患者さまは、寝たきりで介護が必要でしたが、看護師の援助に拒否的な反応を繰り返す方でした。しかし、困っておられることに対して「お手伝いさせていただいてもいいですか?」とお願いすると、すんなり援助を受け入れてくださいました。
元々会社の社長をされていたという事もあり、私たちの伝え方がプライドを傷つけ拒否的な反応になっていたのかもしれません。そんな風に、言葉一つも注意を払うことが必要だということ、そして人生の大先輩に敬意を持って接することの大切さを患者さまから教えていただくばかりです。
私の看護へのモットーは、患者さまの気持ちが前向きになれるような援助がしたいということです。そのために、言葉を選びながら、自分より目上の人として敬意を払うことを心がけて、相手の気持ちに配慮しながら看護をしたいと思っています。