知識と技術から看護師の笑顔はうまれる


story005-01[1]外来看護師 林ともみ
幼いころ病弱だった私は、入退院を繰り返していました。子ども心に、点滴や注射が怖くても看護師さんの笑顔に心を支えてもらい、乗り切れた気がしていました。そんな看護師さんの優しさに触れるうち、自分も看護師になりたいという気持ちが湧きあがり、この道に進もうと決めたのです。
看護学校に進学してからは、看護師が患者さまの前で笑顔でいるためには、知識を持ち、技術に対しても自信を持つことが必要だと実感。そして、看護師さんの笑顔に支えられて進路を決めたのだから、頑張って知識や技術を養って笑顔でいられるよう努力しようと思いました。
卒業後は、総合病院の循環器外科の病棟で一歩を踏み出しました。その病棟は、生命に直結した心臓疾患の患者さまなどを受け入れ、重度の先天性心疾患などの子どもも入院しており、子どもが亡くなる場面にも立ち会うことがあったのです。当時の私は、そんな風に子どもが亡くなるのは辛いと感じていたのですが、子どもの死を看取るご両親の気持ちをどれだけ理解していたのだろう?と、今になって思います。

相手の痛みを想像して接したい

忘れられない出来事は、命を助けることは出来ないだろうと判断された赤ちゃんのこと。お母さんが「抱っこさせてほしい」と言われ、たくさん入っている点滴ルートが抜けないようにスタッフみんなでサポートし、赤ちゃんを抱っこされたお母さん。その表情は今も忘れることが出来ません。
自分の子どもを持って初めて、子どもを失うとはどれほど辛く、耐えがたいものかを想像できるようになり、立場を経験してはじめて相手の心の痛みがわかることを実感しました。
とはいえ、同じ立場を経験することなどできません。けれども、出来る限り相手の立場で考え、痛みを想像して接することの必要性を痛感します。
今は当院の外来で勤務しており、子育てとの両立を考えて、日勤だけのパートという勤務形態ですが、与えられた仕事には責任を持とうと心がけるようにしています。外来は、その病院の顔であり、看護師の対応が病院のイメージをつくるもの。病気が辛くて病院に来られているのに、そこで嫌な思いを与えることは看護師失格だと肝に銘じ、日々仕事をしています。

外来看護師は患者さまの代弁者

story005また外来の看護師は患者さまの代弁者。医師の診察で、説明を受けても理解できないことや不安が残っていそうだと思えば、再度医師から説明してもらったり、私たちが補足するなどをして、安心して治療や検査に臨めるよう援助することが必要だと思います。
また、診察室では緊張されている方も、採血や注射の部屋では心を許して私たちに本音を出される場合もあるのですが、そんな言葉を見過ごさず、この患者さまにとって必要な援助が出来るようスタッフみんなで対応したいと思っています。
仕事をしていて楽しいのは、常連の患者さまと他愛ない話をするときでしょうか。話し好きな高齢者の方も多く、私たちと話すことを楽みにしてくださっている姿を見ると、幼いころ看護師の笑顔に支えられて看護師を目指した私が、今度は誰かを支えられている気がして嬉しく思います。
これからも自分のペースで看護を続け、患者さまとの対話を大切に、受診された事で少しでもプラスを感じて帰っていただける、そんな対応が出来る看護師でありたいと思います。

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